2008年2月5日火曜日
トルンカの『チェコの古代伝説』をみて
1月17日のアニメ鑑賞研究会より
村松錦三郎
壮大な戦闘の群集シーン、群舞、個々の登場人物の感情表現、等々そのすごさ、緻密さに圧倒され、人形アニメーションであることを忘れて、画面に釘付けにされました。
人形アニメーションは同じ画面に登場する何体もの人形をわずかづつ動かして1こま撮影し、またわずかに動かして1こま撮影する作業の積み重ねですが、絵のアニメーションと違い、前の動き・ポーズを見ることができません。アニメーター(人形演者)のイメージだけで動きをつけ、この大作を作り上げ行く力にただただ感動。見終わっても暫く声を上げられませんでした。
チェコと人形アニメーション
(栗栖継『兵士シュヴェイクの冒険』(岩波文庫)訳者あとがきより引用)
『チェコは人形劇が盛んなことで有名だが、それはプラハなどの都会でドイツ化政策が強引に推し進められチェコ語の存在が危うくなった時、コベツキーなどの人形劇人が地方を廻ってチェコ語による人形劇を演じ、故国への愛情を呼び覚まし、チェコ語を滅亡から救ったという伝統があるからだ.』
現在も多くのプロ、アマ劇団に支えられて、幾つもの世界的な人形劇フェスティバルが開かれている。国際的に評価の高いチェコ・アニメの歴史は意外に新しく、1946年にトゥルンカとゼマンがカンヌ映画祭で受賞し、一気に名声を博した。特にトゥルンカは人形劇の体験を生かして、前人未到の人形アニメーションの世界を作り上げた(トルンカは絵本の挿絵も多く手掛け、1968年に「不思議な庭」で国際アンデルセン賞を受賞)。現代作家では、斬新な手法と高い芸術性によって、シュワンクマイエルとメルグルが際立つ。(村松)
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